てんはテンでも・・・【ルリシジミ】 [長崎県]
対馬は南北に長く、また途中の山道は狭く、曲がりくねっているので、南部の厳原から北部の街に行くのも一苦労です。北部で一番大きな街は比田勝です。ハイキングコースの上から眺めた比田勝の港です。
ハイキングコースにはヤブツバキの木がありました。ヤブツバキの花が咲くころはさぞかしきれいでしょう。
比田勝の港にイエネコぐらいの大きさの動物がいました。目と目が合ったとたん、一目散で山に逃げ込みました。ツシマテンでした。あわててシャッターを切りましたが、逃げ足が早く、写真はピンボケばかりでした。
ツシマテンが逃げ込んだ海岸沿いの道には、いろいろなツタ性植物が覆っていました。
そんなところにルリシジミがとまっていました。九州は関東と違って、ルリシジミの仲間(たとえばタッパンとかヤクシマとかサツマとか)がたくさんいますが、このチョウは何回写真を見ても普通のルリシジミでした。
残念ながら北部にいた期間は天気が悪く、チョウがあまり飛んでいませんでした。ツシマウラボシシジミの翅に輝く黒い点を見ることができませんでしたが、ツシマテンをまじかに見れたことでよしとしましょうぅぅゥゥ・・・
疲れたから眠ります「オヤスミナサイ」【ツマグロヒョウモン】 [長崎県]
この日はうっすらと壱岐も見えました。
対馬はリアス式海岸が多く、海岸は国定公園に指定されています。
有明山の山頂でテンパっているのはツマグロヒョウモンのオスです。
たくさんのツマグロヒョウモンが飛んでいましたが、場所取りの体当たり合戦で、
ツマグロヒョウモン特有の後翅の縁にあるきれいなフリルがなくなちゃってました。
このチョウはフリルがきれいですが、フリルがなくなると他のヒョウモンチョウの仲間との鑑別は難しくなります。
対馬に限らず山頂でメスのツマグロヒョウモンにお目にかかったことはありません。
このメスのツマグロヒョウモンは9月に鎌倉にいたチョウです。
対馬ではメスのツマグロヒョウモンにお会いすることができませんでした。
登山道でナミハンミョウが道案内をしてくれました。「帰り道はこっちだよ。」
8月下旬の花のない時期だったですが、センニンソウが咲き始めていました。
センニンソウは毒草だそうです。
麓にある厳原の街の郊外でチョウが活動を停止してまるで眠っているようにいました。
ツマグロヒョウモンです。この日は山登りで疲れたので、「おやすみなさい。」
マダムバタフライの歌が聞こえる【ナガサキアゲハ】 [長崎県]
長崎といえば「ある晴れた日~♪」のマダムバタフライが有名ですから、さぞかしチョウがいっぱいいると思ってました。その筆頭は、大きなアゲハチョウの仲間。その名もナガサキアゲハです。
また長崎は神戸、函館と並んで夜景の名所。夜景の名所巡りをしようと思いましたが・・・この夜はちょうど花火大会があるとのこと。稲佐山よりグラバー園の方がいいよというひとことで、グラバー園に居座ることに。
ライトアップされた洋館は昼間に見るのと雰囲気が違います。旧オルト邸です。
夜のグラバー邸からは幸せな家庭の匂いが漂ってきます。グラバーは家族の幸せを願って邸宅を「四つ葉のクーロバー」の形にしたとのことです。夜なのでその形を確認することはできませんが、誰でも幸せ気分に浸れます。
お待ちかねの打ち上げ花火です。マダムバタフライもこの高台から花火を眺めたのかなぁぁぁぁ~♪~♪
ナガサキアゲハのマダム(メス)はとてもきれいな翅模様です。さらに南に行けばいくほど、翅が白っぽくなり、きれいに見えるそうです。
このチョウは残念ながら、9月に高尾山にいたナガサキアゲハです。長崎のナガサキアゲハは・・・
カクカクシカシカの名山【ジャノメチョウ】 [長崎県]
有明山の山麓にタカサゴユリが咲いていました。きれいなユリにしてはどこでも咲いている雑草です。
タマゴタケかなぁ。タマゴタケだったら食べれるのですが、地元の人が採らないのは毒キノコの証拠です。きれいな赤いキノコです。(タマゴタケの袋がないので違うようです。キノコの鑑定は難しい。)
※シロオニタケのようです。図鑑によると、シイ、カシ、コナラ、アカマツなどの林の地上に発生するとのこと。
有明山の山頂にはツシマジカが群れていました。写真には1頭シカ写っていませんが、あとは逃げました。丹沢に住むシカのように人慣れしていないようです。
ツシマジカは九州に生息するキュウシュウジカより大型のニホンジカの亜種です。
北側には対馬の名山のひとつ白髭山がみえました。対馬はいろいろな山が聳え立つ島です。
残念ながら山頂はジャノメチョウとツマグロヒョウモンシカいませんでした。
ジャノメチョウはほとんどのチョウが翅がボロボロでした。
それでも元気に飛んでいました。(このチョウはきれいです。)
入笠山のジャノメチョウです。ちょっと翅がボロけていますが・・・
これまた入笠山のジャノメチョウです。このチョウはきれいな翅です。
訂正します。
※ベニテングタケと記載しましたが、九州にはベニテングタケは見られないそうです。図鑑で確認したら、シロオニタケのようです。(「九州で見られるきのこばな」を参考にしました。)
ヒメ(小さい)とコ(ちっちゃい)の違いはムラサキ【ヒメジャノメ・コジャノメ】 [長崎県]
対馬は南北に長い大きな島です。九州と対馬を結ぶフェリーが厳原と博多の間を就航しています。
カラスウリの花が咲いていました。
対馬には固有種のチョウセンカラスウリがあるそうですが、数が少ないようです。
有明山への登山道沿いにヒメジャノメが飛んでいました。
ヒメジャノメに似ているチョウでコジャノメがいます。
しかし対馬にはヒメジャノメより暗い森の中にいるコジャノメが生息していません。
ヒメジャノメが暗い森の中まで侵出して、まるでコジャノメの代わりをしているようです。
コジャノメを紹介します。長崎県大村市の県道沿いに飛んでいました。
このチョウはフラッシュをたかないと手ぶれでボケボケになるほど暗い森の中に生息しています。
縦に走るスジがちょっと紫色を帯びます。
いにしえの城跡に滅びの美学【ウラナミジャノメ】 [長崎県]
最大の街、厳原の西側にある有明山の登山道沿いにある清水山は、
豊臣秀吉が朝鮮に出兵した際に築かれた城跡の石組みが残っています。(国の史跡です。)
清水山の城跡にフワ~ン・フワ~ンと独特の飛び方で飛ぶチョウがいました。ウラナミジャノメです。
対馬には神奈川県を含め日本各地にたくさんいるヒメウラナミジャノメはいません。
神奈川県にもかつてウラナミジャノメがいたそうですが、今は絶滅して見ることはできません。
それどころか、ウラナミジャノメは日本各地の生息地から次々姿を消し、いまや城跡のような存在です。
そんなに美しいチョウではありませんが、それを考えるとなにか滅びの美学を感じます。
対馬のウラナミジャノメはオスの翅表に毛の束がたくさんあるので、別種にする学者もいるようですが、
朝鮮半島にいる亜種に近い対馬亜種とされています。(ウラナミジャノメ本州亜種は絶滅危惧種です。)
ウラナミジャノメは、普通にいるヒメウラナミジャノメとの生存競争に敗れたと主張する学者もいます。
いままで対馬以外にウラナミジャノメを見たことがありません。
このチョウは長崎県大村市の県道沿いにいたヒメウラナミジャノメです。
ベニバナボロギクが空き地に咲いていました。
ベニバナボロギクはアフリカからの外来植物で、九州で繁茂しているそうです。
フウセントウワタが同じく空き地に咲いていました。この花も外来種です。
実が男性の〇玉に似ているので、別名、◎玉草と呼ばれています。(お下品ですみません。)
トウワタの仲間は南方から地球温暖化にのって北上を狙っているカバマダラの幼虫の食草です。
フウセントウワタはうちの近所でも植えられていました。カバマダラは強いチョウです。
神奈川県でも数年もすると絶滅した弱いチョウにかわって、強いカバマダラが普通に飛んでいるかもしれませんね。
小さなホシの飛行機は飛んでいた【ホシチャバネセセリ】 [長崎県]
早速、固有種がたくさん生息する対馬に飛びました。
長崎空港から対馬空港までの島便は40人乗りの小さなプロペラ機です。
プロペラ機は低空を飛びますので、窓からは長崎県の島と海が楽しめます。
この小さな飛行機に乗ることも楽しみの一つです。
島に着いて小さな小さな飛行機のようなセセリチョウに逢いました。ホシチャバネセセリです。
ホシチャバネセセリは、全国で次から次に生息地からいなくなり、環境省指定の絶滅危惧種です。
いまや数少ない生息地の一つが対馬です。神奈川県でも生きててほしいなぁ。
ホシチャバネセセリの生息環境は明るい小さな草原です。近頃はそんな草原が少なくなってしまったようです。
翅に古代の宇宙図(私見です。)が描かれているようです。
小さいので飛ぶと見失いやすいのですが、案外すぐ近くにとまっていました。
対馬には花でもこの地方独特のものが咲きます。紫色の花が段々に咲くダンギクはその一種で、
まだ時期には早かったのですが、ほんのちょっとだけ咲いていました。
花の時期に来たらと思うと少し残念ですが、その頃はチョウが飛んでいるかなぁ。
対馬固有の文化、石屋根の倉庫です。今は瓦ですが、かつては屋根が石だったようです。
黄金伝説のチョウと思ったのに・・【モンシロチョウ】 [長崎県]
日本の国境の島、長崎県対馬は特異な自然が息づいています。
対馬の自然の豊かさの象徴は、その中に野生のツシマヤマネコが生息していること。
環境省対馬野生生物保護センターには野生のツシマヤマネコが飼育されています。
剥製ですみません。本物は飼育室でいつでも見ることができますが、撮影禁止です。
なんで、元気なヤマネコなのに自然に帰さないの?と思うでしょ。
野生のイエネコ、つまりノラネコと共通する伝染病にかかっているからです。
ノラネコはヒトが捨てた猫たち。野生化した猫は自然界では頂点に位置する肉食獣になります。
みなさん猫を捨てないようにしましょう。猫を捨てると50万円の罰金です。
でも、その話は置いといて、
詳しくは環境省対馬野生生物保護センターのホームページをご覧ください。
http://twcc.cool.ne.jp/
対馬には野生のオニユリが咲いています。お寺や皆さんの庭、田んぼのあぜ道に咲くオニユリは
遺伝子が共通で、ムカゴで増えることができる園芸種です。
ところが対馬のオニユリは花に実ができる野生種です。
海沿いの岩場にオニユリが揺れています。
オニユリはあちらこちらに咲き乱れます。たいへんな量です。
オニユリの特徴は赤い花に黒の斑点。それが赤鬼の顔を連想します。
対馬には黄色いオニユリも咲きます。青色のユリで青鬼を・・・それはありません。
対馬特産のオウゴンオニユリ(黄金鬼百合)です。対馬島民の自慢の花です。
対馬はチョウも特産種がいます。ツシマウラボシシジミ、そしてタイワンモンシロチョウ
写真を撮ったときは、てっきり特産種のタイワンモンシロチョウと思ったのですが、
どうも老齢で体調が優れないモンシロチョウのようです。
本物のタイワンモンシロチョウは、「yohboの対馬の昆虫館」さんのウェブをご覧ください。
http://yohbo.main.jp/
他のモンシロチョウの記事
http://blog.so-net.ne.jp/asagi-iro/2006-06-17
http://blog.so-net.ne.jp/asagi-iro/2006-06-26
モンシロチョウのone point
モンシロチョウのオスは紫外線が見える特殊な目でみると翅が紫外線を吸収するため黒く見えます。メスは紫外線を反射するので、いつものモンシロチョウの色です。